フコキサンチンの生理機能と健康

フコキサンチンとは、海藻に含まれる鮮やかな橙色の発色を示す成分です

自然界に600種類以上存在するカロテノイドであり黄、橙、赤色などを示す天然色素(トマトはリコピン、人参はβ-カロテン等)の中の一つとされ、1914年に発見、1969年に化学構造が決定されました。

近年、フコキサンチンの生理機能の一つとして発がん予防作用が挙げられ注目を集めています。

この成分がヒト前立腺がん細胞にアポトシースを誘導する作用は、カロテノイド類の中ではもっとも強く、また結腸がんモデル動物に経口投与する実験では前がん病変形成を有意に抑えるという結果が出ました。

腫瘍細胞の細胞周期を停止させ、腫瘍の増殖を抑えたのです。

もう一つの機能として肥満予防効果が挙げられます。

この成分は消化、吸収され体内に取り込まれると、ミトコンドリア脱共役タンパク質という物質を発現させ、その物質が代謝の際に体熱の放出を促します。

結果として、脂肪細胞の脂肪を体熱として消費させることで肥満を防いでいます。

フコキサンチンは栄養素ではなく非栄養素です。

栄養素は体内に吸収され肝臓でエネルギー代謝されますが、非栄養素は吸収後、まず小腸細胞内で代謝を受けますが多くは排泄されます。

生昆布に含まれる量に換算して日に100kgを4週間与えても、その動物に異常は認められておらず過剰摂取毒性は今のところ報告されていません。

海藻によるヒトの生活習慣病予防には大きな期待が寄せられています。

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